わたしの四国旅 (14) スタッフ村尾
Shikoku Pilgrimage Information Center Staff: Kota Murao
こんにちは、四国遍路センタースタッフの村尾です。私は長年、84番札所屋島寺の近くに住んでいます。今日は皆さんといっしょに地元屋島を散歩してみたいと思います。
屋島のタヌキの件
ところで、あなたはタヌキをみたことがありますか?
あなたの国は、タヌキが幸せに暮らせる国ですか?
屋島寺境内では、あなたも野生のタヌキに出会えるかもしれません。
タヌキは体長50~68m、体重4~6kgの小柄な動物で、秋季になると体重6~10kgに達します。体毛が多いのでずんぐりとした体に見えます。本来、タヌキは警戒心が強い動物ですが、屋島ではよく人前に現れます。
今日もいました。
タヌキは犬によく似ています。英語では、racoon dog と呼ばれるそうですね。
日本では、古来より不思議な霊力を持つ霊獣とされています。
本州に住むタヌキはしばしばその霊力を使って人を化かすので、妖怪として扱われますが、四国では神様とされています。
平安時代初期のお話です。屋島に住む「太三郎狸」というタヌキが老人に化け、弘法大師の道案内をしました。弘法大師は「見所のあるタヌキだ」と大変喜び、太三郎狸を屋島寺の守護に任命しました。太三郎狸はその出会いをきっかけに、おごることなく勉学に励み、「狸にも学問が必要だ」と屋島に狸の大学を設立、日本中から優秀な狸が集まり修行を積んだそうです。
その後太三郎狸の霊力はますます高まり、四国狸の総大将に任ぜられ、江戸時代にはタヌキ界の大戦を仲裁したり明治時代の日露戦争では日本軍を助けたりして大活躍したといわれています。
太三郎狸は、今では屋島寺境内で神様として祀られています。
左にいるのが太三郎狸、右にいるのがその奥さん。どちらも子供を連れています。武勇に優れた太三郎狸ですが、家庭も大切にしたことから、家庭円満・縁結び・子宝のご利益があるとして信仰を集めています。
さて、屋島寺を参拝した後は、屋島山上からの景観を眺めましょう。
屋島寺から歩いて5分、「れいがん茶屋」横の展望台からは、瀬戸内海の島々と讃岐平野の景観が広がります。
あるオランダ人が「屋島は子供でもお年寄りでも歩いて登れる本当に小さな山。でも山上からの絶景は世界一だ! ユニーク!」とほめてくれました。屋島で生まれ育った私にとっては当たり前の景色なので、うれしいけどなんだか不思議な気がします。
「れいがん茶屋」では食事やお茶ができますが、ここでしか買えないかまぼこがあります。
太三郎狸をモチーフにした、やしまのかまぼこ「やしかま」です。
テイクアウトして、店舗外にある休憩用ベンチで座ってゆっくりいただけます。景色を眺めながらだとおいしく感じます。食べ歩きもいいですね。
今回は屋島山上を歩いてみましたが、麓には「四国村ミウゼアム」という博物館があり、四国各地から移築した古民家群や、建築家・安藤忠雄設計のギャラリーを見たり、うどん店「わら家」で釜揚げうどんを味わったりできます。四国遍路の終盤で、ぜひ屋島エリアをゆっくり楽しんでいただけたら嬉しいです。