わたしの四国旅 (19) マルタさん
Marta Mundo, Portugal Complete Shikoku Pilgrimage
四国、物語と出会いの聖地
2018年の秋、私はその当時、広島に住んでいた。ある日、私は自宅から松山まで一人自転車旅に出た。四国に着いた途端、すぐに日本で最も好きな地域のひとつになった。愛媛県菊間町の坂道を自転車で下っていたとき、白い装束に茶色のズボンを着て、円錐形の帽子をかぶった若い女性を見かけた。その時、私は彼女が何かの武術の訓練をしているのだと思い、興味を持った。数日後、職場で、お寺に住んでいる上司に、その若い女性の修行について何か知らないかと尋ねたところ、お遍路さんを見たのだろうと教えてくれた。私はとても興味をそそられ、”お遍路さん “という言葉がずっと頭の中に響いていた。
種は最初から蒔かれていた。四国遍路を歩くという考えにどんどん惹かれていき、最終的に2019年の春に私はお遍路さんになることを決めた。ただ、検索してみると、私の母語であるポルトガル語のオンライン情報はあまり見つからなかった。英語で検索したほうが、お遍路さんについての理解が深まり、実践的な情報を得ることができた。
私が歩こうと思った動機のひとつは自己啓発であり、四国八十八ヶ所は心、精神、そして魂の旅として、すべての条件を満たしていた。一周という初めての経験は、これ以上ないものだった。島を一周した55日間は、私に多くの喜びと多くの友人、シンクロニシティ(共時性)、チャレンジ、洞察をもたらしてくれた。
当初、私は衝撃的な瞬間ごとに日記を書き、旅の景色、交流、音、詳細を記録していた。しかし、日本文化に関する別の本を優先させるため、数年間は執筆を中断していた。2022年に2度目の四国一周を終えてから、Fundação Oriente(東アジア財団)に巡礼のレポートを書いたことが、この本の方向性を変えた。日記ではなく、個人的な視点を保ちつつ、研究的なアプローチを採用したのだ。
今日に至るまで、四国遍路については日本語で多くのことが書かれているが、英語、フランス語、ドイツ語でも良い資料がある。だから、私はポルトガル語で書こうと決心し、『四国、物語と出会いの聖なる島』という本ができた。
本書は、巡礼中のガイドとしての役割を果たすことを意図したものではない。本書は、どちらかと言うと、お遍路の旅のイメージをつかみ、お遍路の計画を立てるための入門書である。
四国と仏教について、その図像や弘法大師について紹介している。お遍路の過去と現在の歴史、そして将来の展望にも触れており、寺院の創建にまつわる伝説も選りすぐられている。
巡礼方法、宿泊施設の種類、お接待文化、道標など、計画を立てるための実践的な情報も提供している。また、お寺だけでなく、日本の一般的な習慣やマナー、健康や安全についてのアドバイスも掲載されている。 四国遍路は、八十八ヶ所のお寺だけでなく、それに参加するすべての人々によって成り立っている。個人的には、お遍路さんについて、その動機、「歩き遍路」、「プロ遍路」、「外国人遍路」などについて書くのが楽しかった。最終章では、他のお遍路さんとの出会いも紹介している。この本は2023年の夏に発売された。
『四国、物語と出会いの聖なる島』マルタ・ムンド著(2023年発行 ポルトガル語) https://shikoku.carrd.co/
プロフィール
マルタ・ムンドはここ数年、日本で語学を教え、接客業に携わり、あちこちを旅しながら、日本の伝統文化について学んできた。広島で茶道の稽古を始め、滋賀で禅と結びついた実践的、美的、哲学的な側面を深めながら稽古を続け、東京に移って茶道研究をさらに深めた。数え切れないほど四国を訪れ、2019年と2021、2022年には四国八十八ヶ所の巡礼を完遂した。趣味は探検、ヨガ、ピクニック、ヒッチハイク、サイクリング。著書に “Um Ano no Japanão “や “Shikoku, Ilha Sagrada de Contos e Encontros “がある。