わたしの四国旅 (11)オリバーさん
Oliver Dunskus,Germany Complete Shikoku Pilgrimage
巡礼の2日目、9月の蒸し暑い日、おそらく6番札所と7番札所の間だった。骨の髄まで汗をかき、時差ぼけで眠りも浅く、バックパックは重く、私は本当に情けなくなり、自分自身や周りのものに対して怒りを感じ始めた。すれ違う車は誰も私に同情しなかった。
「誰か私をエアコンの効いた車に乗せてくれないか? ねえ空海、エアコンの効いたリムジンを送ってくれないか!」私は思った。すると驚いたことに、2分後、私の隣に車が止まり、窓が開いた!「わあ、簡単じゃないか!」。しかし、運転手は私を乗せてはくれず、「これをあなたに」と紙片を渡し、そして彼は窓を閉めて走り去った。私はがっかりした。
その日の夜、鴨島のゲストハウス「チャンネルカン」でその紙片を見てみると、それは赤、黄、金色の錦の納札(おさめふだ)で、100回以上の巡礼を終えた人が使うものであり、持ち主は130回巡礼している人であることがわかった。この納札は幸運をもたらす希少価値の高いものらしい。「よし、この納札で何ができるか見てみよう」。しばらくして、私は自分に言った。「空海がエアコン付きのリムジンを送ってくれるとでも思っているのか? 甘ったれた怠け者め!」。そして、かつてお遍路の友人が言った言葉を思い出した。
「空海は、あなたが当たり前だと思っていたことを奪い、代わりにあなたが予期していなかったことを与えてくれる」。
数日後、私はエアコンの効いたリムジンを使わずに、人里離れた場所で巡礼を続け、小さな川沿いを歩きながら楽しい時間を過ごしていた。あと数キロ、夕焼けの中をあと1、2時間歩けばホステルに着く。谷間には川で仕掛けを見ている漁師しかいなかった。突然、私の隣に車が止まった。若い女性が言った。「乗ってください、一緒に連れて行きますよ、どこへ行くんですか?」
何年もの間、私はそのような経験を何度かした。私は宗教家ではないが、歩くときに空海に語りかけている。彼は私のコーチであり、旅の友であり、守護天使であると感じている。多くのお遍路が同じような経験をしている。
四国遍路の素晴らしさに感銘を受け、これまで6回四国を旅したが、『The Shikoku 88 Japan Route Guide』という地図帳以外に、お寺とお寺の間を説明したガイドブックがないことに気づいた。私は、自分のガイドブックを書くことで、この場所がいかに素晴らしい場所であるかを伝える必要性を感じた。そして、私のガイドブックを使い、巡礼の旅が少し良くなったと言ってくれる巡礼者に会うたびに嬉しくなる。
『The Shikoku 88 Japan Route Guide』は、ヨーロッパに住む多くのお遍路さんが、自宅で旅の準備をしているときに手に入れようとする本だ。この本が欲しい方は、私からも入手できるのでメールでご連絡ください。(注:オリバーさんは著者松下氏の代理としてヨーロッパで販売しています)。
私自身のガイドブックは『The 88 Temples of Shikoku』というもので、ドイツ語、フランス語、英語で出版されており、主要な書店やブックサイトで入手できる。