遍路用語とマメ知識

巡礼の言葉

同行二人 どうぎょうににん 「同行」は一緒に歩く道づれのこと。「二人」は2人のこと。つまり、一人でいても常に弘法大師がそばにいるという意味。四国遍路の装束や案内板などによく書かれている。
お接待 おせったい 地元の人たちがお遍路さんへ敬意と善意の表現として食べ物などを贈ること。できる限り断らず、感謝の気持ちをもって受けるのがマナー。
お遍路さん おへんろさん 四国遍路の巡礼者を敬意と親しみをこめて呼ぶ呼び名
打つ うつ 札札所を参拝すること。昔の巡礼者が参拝の証に自分の名前を書いた木札をお堂に打ち付けていたことに由来する。
順打ち じゅんうち 札所を一番札所から順番通りに参拝すること。
逆打ち ぎゃくうち 札所を八十八番札所から逆に参拝すること。逆打ちは順打ちよりも難易度が高いので、より御利益があるとされている。
結願 けちがん 八十八カ所すべてのお寺をお参りしおえること。一番札所から順打ちすれば、八十八番の大窪寺が結願寺となり、途中から始めた場合は、88番目に訪れた寺が結願となる。
お礼参り おれいまいり 結願後、最初の札所まで戻ること。また、大師が入定する高野山に結願の報告をするために参詣すること。
遍路ころがし へんろころがし 遍路泣かせの険しい難所のこと。11~12番や19~20~21番への道のり、標高750mの60番、標高910mの66番など。
先達 せんだつ 四国霊場を何度も回っている先導者のこと。
お四国 おしこく 四国八十八カ所の寺院のこと。またはお遍路さんを指す意味合いもある。
札所 ふだしょ 四国遍路の八十八の寺院のこと。参拝して納札を納めるという意味から「札所」と呼ばれる。
番外 ばんがい 四国遍路の八十八の寺院には含まれないが、歴史的に空海や四国遍路と関係が深い寺院のこと。
別格 べっかく 番外の寺院のうち20の寺院が集まり組織する「四国別格二十霊場」を省略した言い方。

お寺についての言葉

山門 さんもん 仏教寺院の正門。本来、寺院は山に建てられ山号を付けて呼ばれた。その名残りで、平地にあっても山門という。
手水舎 てみずや・ちょうずや 参拝前に心身を清めるための建物。入口や参道の付近にあり、水盤の水を柄杓ですくって手や口をすすぐ。
鐘楼 しょうろう 鐘を吊り下げ、撞き鳴らすための建物。
本堂 ほんどう 本尊を祀る寺の中心的な建物。
大師堂 だいしどう 弘法大師を祀る建物。
納経所 のうきょうしょ 納経帳に墨書と朱印をいただいたり、御影やお守りなどをいただくための事務所。本来は写経を納めるところの意。
納札箱 のうさつばこ 札を入れるための箱。本堂と大師堂に設置されている。
写経 しゃきょう 仏教経典を書写したもの。現代の日本で写経と言えば、『般若心経』の書写を指すことが多い。
本尊 ほんぞん 崇拝の中心となる仏像。
御影 おみえ、おすがた その寺の本尊の姿を描いた絵。
仏足石 ぶっそくせき 仏教の開祖・釈迦の存在を象徴的に石に刻んだもの。
住職 じゅうしょく そのお寺の運営や管理を担っている僧侶。

仏教の豆知識

密教 みっきょう 仏教の思想・教義のひとつ。インドで興り中国に伝播したものを、9世紀初頭に空海が中国から持ち帰り、日本独自の真言密教として体系化した。即身成仏を説き加持祈祷を行なったので、皇室から庶民まで信仰が全国に広まった。インドや中国では密教が衰退してしまったのに対して、日本とチベット周辺には密教が現存し、即身成仏のための実践法が保存されている。
真言宗 しんごんしゅう 真言密教を教義とする宗派。教義の実践法などの違いによりさまざまな分派がある。四国遍路の88の寺院のうち80寺院は真言宗で、なかでも高野山真言宗、真言宗豊山派、真言宗御室派が多い。
高野山 こうやさん  空海が修禅の道場として開いた真言密教の聖地。和歌山県北部に位置し、高野山全域が「総本山金剛峯寺」とされる。その奥之院では今も弘法大師が修行を続けているとされ、四国遍路を巡り終えた後、または巡る前にお参りするとよいとされている。
即身成仏 そくしんじょうぶつ 真言密教の特徴的な教義で、人間は生きるこの身のまま究極の悟りを開き、仏になれるという考え方。従来の日本の仏教では、成仏の達成には無数回の生死を繰り返して修行を積む必要があったが、真言密教では三密という行法の実践により今生のうちに成仏できると説かれた。
加持祈祷 かじきとう 仏の霊力を願う儀式。真言密教では、護摩を焚き、手で様々な形を作り(手印)、真言を唱えて仏の加護を祈る。
真言 しんごん マントラ。仏様に対して呼びかけを行い、ご利益を願うための呪文のような言葉。元はサンスクリット語で、訳すことが難しいため漢字で音写された。仏様ごとに真言がある。
護摩 ごま 密教や修験道の実践法。炉の中に供物や護摩木(願いが書かれた薪)を入れ、火とともに願いを天に運び成就を祈る。
曼荼羅 まんだら 仏教の世界を図に示した絵画のこと。密教の曼荼羅は、2大教典「大日経」と「金剛頂経」をそれぞれ描いた「金剛界曼陀羅」と「胎蔵界曼陀羅」がある。いずれも中心に大日如来が描かれている。
神仏分離 しんぶつぶんり 1868年に発令された政府の宗教政策。日本では千年以上、神道と仏教が混ざりあった状態で信仰されていたが、両者を区別し神道を国教化する方針が打ち出された。これがきっかけとなり民間に仏教排斥の風潮が広がり、四国でも多くの寺院で仏像・仏具・経文が破壊された。

仏像の種類

仏像は、以下の4つ(如来、菩薩、明王、天部)のグループに分けることができ、異なる役割を担っているとされます。

如来 にょらい 真理を悟った者、という意味で、衆生を救うために仏界から降りてきた最高位の仏様。頭髪が渦巻き状で、装飾品を身につけていないのが基本。ただし大日如来は宝冠を身に着けている。釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来など。
菩薩 ぼさつ 如来に付き添って修行をしながら、衆生を救う努力をする存在。宝冠、首飾り、イヤリングなど装身具を身につけ、手には人々の願いをかなえるための道具を持っていることが多い。十一面観音菩薩、千手観音菩薩、地蔵菩薩、聖観音菩薩、虚空蔵菩薩、馬頭観音菩薩、文殊菩薩、弥勒菩薩など。
明王 みょうおう 密教特有の存在。大日如来の使者として、仏教に帰依しない民衆を畏怖させ教化する役割。そのため恐ろしい形相で火炎を背負い、武器を持つ姿で表現されることが多い。不動明王、愛染明王、金剛夜叉明王など。
天部 てんぶ 如来、菩薩、明王を仏敵から護る存在。古代インドの神様が仏教に取り入れられたもので、武将や貴人などさまざまな姿形の多種の像がある。四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)は東西南北の四方から仏教界を守る役割、金剛力士はお寺の山門の左右で仏敵の侵入を阻止する役割を担っている。ほかに、弁財天、帝釈天、毘沙門天、吉祥天、閻魔天、水天、梵天など。
その他 そのた 仏道修行者や高僧の像を羅漢といい、その群像は十六羅漢、五百羅漢などと呼ばれ信仰の対象とされる。また、宗派の開祖の像も信仰の対象とされる。

日常的な言葉

阿波 あわ 徳島県の古い呼び名
土佐 とさ 高知県の古い呼び名
伊予 いよ 愛媛県の古い呼び名
讃岐 さぬき 香川県の古い呼び名
いち
さん
し、よん
ろく
しち、なな
はち
きゅう、く
じゅう 10
ひゃく 100
せん 1,000
まん 10,000